形状を精度よく測ることは精密なものづくりの基盤となる技術です。
我々は、X線CTを使った3次元形状スキャニング技術の高精度化をソフトウェア開発の立場から試みています。

研究テーマ例：
・形状抽出アルゴリズムの開発
・CTアーチファクトの軽減

製品の性能を評価するにあたり、コンピュータ上で強度や温度分布を解析することが増えてきています。
現物（実際に存在する物体）の形状を計測して解析に必要なデータ構造（四面体メッシュ）を生成できると便利です。
当研究室ではX線CTスキャナで得られたデータ（サイノグラム）から直接、高精度かつ解析に適した特長を備えた四面体メッシュを生成する技術を研究しています。
上述のX線CTによる高精度3次元形状計測技術を用いると、複数マテリアルからなる製品に対しマテリアルごとに分かれたメッシュを生成することもできます。

研究テーマ例：
・サイノグラムからの高精度四面体メッシュ生成
・マルチマテリアルオブジェクトの境界検出

セラミックス複合材(ceramic matrix composite, CMC) は内部に織物状の構造を有し軽量ながら耐熱性に優れる素材で、航空機産業での応用が期待されています。
これらの特長は、織物構造が設計どおり正確に作られていることが条件となります。
最終形状を見越した設計は困難な作業ですが、形状モデリング技術でこれを支援するシステムを構築しています。
また出来上がった製品内の織物構造が設計どおりであるか、欠陥がないか、X線CT画像を基に検査するための手法も考えます。

研究テーマ例：
・CMC素材による成型品の設計支援
・CMC素材の欠陥検出

金属製品の主な加工法に、プレスや鋳造があります。
加工に際して起こるスプリングバック（変形後元に戻ろうとすること）や熱膨張・収縮の度合いの予測が困難なため、金型を何度も作成し手作業で微調整する必要があります。
その労力とコスト削減を目指して、当研究室では加工品の3Dスキャンデータから金型の補正量を決定する手法を研究中です。

研究テーマ例：
・鋳造品製造のための金型補正
・プレス加工のための金型補正

高性能な製品が当たり前になった今、消費者の感性に訴えるような魅力をもった製品が求められるようになってきました。
「魅力品質」の高い製品を開発する新たなものづくり、デライトデザインプラットフォームの基幹技術として、私達は現物から感性モデリングに役立つ3Dモデルを作成する技術を提案しようとしています。

研究テーマ例：
・使用感のよい製品の設計のための試作モデル作成技術開発
・音の可視化によるデライトデザイン技術に関する研究

一般的な加工では作成困難な複雑な形状も、3Dプリンタ（積層造形）を使えば簡単に作れる場合があります。
制作費も比較的安価で手軽に造形できるというメリットもあります。
3Dプリンタの長所を活かした形状モデリング技術で、面白く実用的なアプリケーション開発を行います。

研究テーマ例：
・重心制御による製品設計支援
・曲率に基づくカラリングの提案